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ななつむぎ

こんにちは。好きな漫画主に狼陛下の花嫁、帝の至宝、コレットは死ぬことにしたの感想や妄想を気ままに綴っております。

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狼陛下のお気に入り5

Category狼陛下のお気に入り

こんばんはー。(゚∀゚)

7月に入りましたね。
もう蒸し暑さに我慢出来ず、早速冷房を使ってます。だって暑いよ~((+_+))

今日は映画見に行ってきました。
アリス・イン・ワンダーランド2.
ファンタジーな世界観と色彩豊かな映像美が素晴らしかったデス♪(#^^#)


それではのんびりお話の続きです。
この話、どうやってオチを付けようか悩むなぁ。(続き真っ白)(@_@。










***********************







――国王陛下直属の事務仕事を司る政務室は、細々とした業務が山積しとても忙しい。

そこには有力貴族の子弟や登用試験の成績優秀者が集められ、将来有望な若い官吏達が日々しのぎを削る、いわば花形部署である。

そんな政務室に、今日も格子窓ごしに響く怒鳴り声――


「…だからっ、貴様の案は一々無駄ばかりが多い!治水用の貯水池整備の話が、何故庭園造りの話になるのだ!しかも植樹やら四阿なぞいらんっ!」
「え?だって折角人口池を作るなら、見て楽しい、宴など催せるような風靡な庭園にした方が後々有効活用できるじゃないか」
「どこにそんな予算がある?!貯水目的のみの、シンプルかつ機能的な池であればそれで十分だ!」
「君の設計案は本当に簡潔だよねぇ。池以外、見事に余計な物が何もない。ふぅ…想像しただけで味気ない殺伐とした風景が浮かぶ…」
「ほざけ!」


(また始まった…)
書簡の箱を抱え戻った夕鈴は溜息を吐き――ギャンギャンと言い争いしている二人を見遣る。


気難しく協調性に欠ける柳方淵。
優雅でとことんマイペースな氾水月。

彼らは共に王宮権勢を二分する有力貴族の息子で、とても優秀な陛下の補佐官なのだが、いかんせん水と油、真逆な性格でいつもこうやって意見を対立させている。そして他の官吏らは柳と氾に睨まれたら怖いと、誰も口を挟めずビクビクと遠巻きに見ているだけ。

彼らが諍いを始めると中々収拾がつかず皆困り果てるのだが、ところがここ最近状況が変わった。
何と、この両者の間に割って入る強者が現れたのだ。


困り顔の官吏達の視線が無意識に夕鈴に集中する。
次第に言い争いは激化し(主にヒートアップしているのは柳方淵)、ピリピリする室内に見兼ねて、夕鈴は恐る恐る二人を宥めに入る。

「ま…まあまあ、お二人とも。口論はその位にしてお仕事片付けません?もうじき昼休憩ですし」
すると方淵がこちらをキッと睨む。
「遅いぞ、汀青慎!資料を取りに行くのに何時間かかってる!」
「は、はいっ、すみませんっ!!」
(ひーっ、ついでにこっちにまで火の粉が~!)
「おやおや、新人にまで八つ当たりして可哀想に。方淵、そんなに毎日イラついてると体に良くないよ?」
「誰がそうさせていると…っ」
「所で――お昼だし、私は体調不良なのでそろそろ早退させて貰うね」
「帰るな!仕事をしろ!!」

ギャンギャン吠える方淵に、キラキラとマイペース過ぎる水月。
ああ、もう…このままじゃ埒が明かないと、夕鈴はこめかみを手で押さえる。




と、丁度そこへ――侍官を伴い国王陛下が中央殿から戻ってこられた。

「――何の騒ぎだ?」

紫紺の袍を纏いスラリとした長身、武芸を嗜む引き締まった体躯――そしていつ見ても男性ながら整った美貌。
現れた陛下の姿に、言い争っていた方淵と水月は勿論、政務室の官吏一同が一斉に拱手し、夕鈴も皆に習い慌てて端っこで礼を取る。

皆を一瞥し、黎翔は口を開く。

「――柳方淵、この報告書を早急にまとめておけ」
「…はっ」
「氾水月、治水整備の草案を今日中に提出しろ。ただし予算は厳守だ」
「…畏まりました。我が君の仰せの通りに」

彼が指示すると先程までの口喧嘩が嘘のように、二人はスッと優秀な補佐官らしく己の業務に取り掛かる。
それを合図に政務室内も再び忙しく動き出す。


「は――…」

さすが狼陛下だわ。鶴の一声…ならぬ狼の一声で一瞬にして皆を従えさせてしまうのだから。

夕鈴が感心していると、黎翔がこちらを見て目が合う。
「さて、汀青慎。手が空いてるなら私の執務室へ――手伝いを頼む」
「は、はいっ!」
その意味有り気な流し目にドキッと緊張しつつ、夕鈴は彼に従いついて行く。



二人が出て行くと、官吏らの間に何とも言えない微妙な空気が流れる。

「なあ、あの新人、妙に陛下に呼ばれる回数が多くないか?」
「ああ、いつの間に上手く取り入ったのか」
「それに柳と氾の諍いにもよくツッコめるよなぁ、女みたいな可愛い顔して姿は小さいが、中々度胸がある奴だ」

ボソボソ噂話をする連中の横で、一人曹熊がぶうっと剥れてる。
(あいつめ、先輩である俺を出し抜いて上手くやりやがって…)


政務室の官吏達が噂するように、配属されたばかりの新人官吏は柳と氾の仲裁役だけでなく、すっかり『狼陛下のお気に入り』と揶揄され、政務室でも一目置かれる存在となっていた。









回廊を歩く黎翔の後ろに付き従いながら、夕鈴が小声で礼を述べる。

「…ありがとうございます。陛下の御蔭で助かりました」
「あの二人の不仲なんていつもの事なんだから、ほっとけばいいのに」
「でも皆困ってるようでしたし…。元々私が最初に深く考えず口を挟んでしまったのがきっかけでしたけど、考えてみれば何のしがらみもない私が仲裁役を買って出るのが一番後腐れがないですし」
「人の事より君は自分の心配をした方がいい。誰かに絡まれて万一正体がバレたらどうする」
「うっ…!それは、仰る通りですけど…」
彼のツッコみに夕鈴はグッと口ごもる。
「クスッ。でも今の所誰も気付いてないようだよ?――まさか君が女性だなんて、ね」
「……はい、お蔭様で」
夕鈴はほんのり桃色に染まる頬を袖で隠し、彼を見上げる。

優しい笑みを向けるこの小犬のような人が、先程皆がひれ伏した狼陛下と同一人物だなんて、未だに信じられない。
そして弟の身代わりに、女の身で男装し官吏として出仕する自分を受け入れてくれたことも――






――夕鈴が王宮に出仕し、早10日が過ぎようとしていた。



初日にひょんな偶然で国王である黎翔と出会い、いきなり女であることを見抜かれ万事休すと思った。
自分のヘマで可愛い弟・青慎の官吏登用も台無し、それどころか自分自身、王を謀った罪で牢屋にぶち込まれどんな懲罰を受けるか…。
(何もかもこれで台無しだわ…)
蒼褪めへなへなと床に座り込み、夕鈴は絶望する。

すると――黎翔が夕鈴の真向かいにしゃがみ、こう尋ねてきた。

「態々男に変装して王宮に出仕するなんて、何かよっぽどの訳があるんでしょ?良かったら僕に話して聞かせてくれない?」
「……」
綺麗な紅い瞳――この人が世間で『冷酷非情の狼陛下』と呼ばれる王様だと分かっても、未だにピンと来ない。
だってこんな優しそうな人が、本当に怖い王様なの?
(どうせ罰を受けるのなら、もう隠し事したってしょうがない)
彼の優しい声のトーンに思わず涙腺が緩み、夕鈴は素直に経緯を全て打ち明け――

そして事情を知った黎翔が、あっけらかんとこう言った。

「なーんだ、それならこのまま君が弟君の代役を務めれば万事問題ないじゃない」
「……は…?」
「大丈夫、僕も協力するから!」

ニコッと微笑む黎翔に、いきなり何言い出すんだ、この王様――と夕鈴はポカーンとする。



それから――10日あまり。
陛下の気まぐれか何かは知らないが、結局夕鈴は何のお咎めもなく、周囲に正体が露見する事もなく、寧ろ至って順調に官吏生活をこなしている。




人払いした執務室に二人きりになると、途端に人が変わったようににぱっと笑う小犬に勧められるがまま長椅子に座らされ、夕鈴は恐縮する。

「――本当にいいのでしょうか?私、このままここで働いてて…」
「だって僕以外誰も気付いてない訳だし何も問題ない。君の都合通りじゃない」
「…それはそうですが」
「それより疲れたでしょ?献上品の美味しいお菓子があるんだー。甘い物好き?」
戸棚から黒塗り箱を取り出し菓子の準備をする陛下に、夕鈴が慌てて腰を浮かす。
「えっ?!わ、私が致します」
「いーから、いーから」

(だって!下っ端官吏が王様にお菓子を出させるって、これじゃ立場がアベコベでしょ?!)

しかしルンルンと上機嫌な陛下に逆らえず、並んで長椅子に座り彼がお菓子をパクつくので、仕方なしに夕鈴も一口齧ると――その焼き菓子の上品で芳醇な甘さに思わず頬を片手で押さえる。
「ん~~♡」
「どう?美味しい?」
「はい、とっても!ほっぺが落ちそう~。私、こんな美味しいお菓子を食べたの初めてです」
「それは良かった」
ニコニコ嬉し気な陛下に、ハッと我に返り夕鈴は頬を染め、大人しくモグモグとお菓子を食む。
「私、お仕事をお手伝いする為に呼ばれたのでは?」
「ちょっとした息抜きだよ」

(なんか調子が狂うなぁ、この王様)
皆の前では狼陛下だったのに――今、横に居るのはまるで小犬。これがこの人の本性。

おずおずと夕鈴が尋ねてみる。
「あの、陛下はいつもそうやって怖い王様を演じているのですか?」
「うん。今この国に必要なのは冷酷非情の狼陛下だから。――でもさすがにずっとコレは疲れるんだ💦偶々バレちゃったけど夕鈴の前だと僕も素でいられるから、つい嬉しくてこんな風に甘えて…、ごめんね」
しゅん、と小犬がしおらしく耳と尻尾を垂れさせる姿に、夕鈴はキュンを胸を鷲掴みされ、
「そ、そうですよね!陛下だって偶には息抜きも必要ですよ!私で良ければいくらでもお付き合いしますからっ!」
「ありがとう、優しい兎だ。――そんな可愛い事を言われるともっと甘えたくなる」
黎翔がそっと夕鈴の頬に手を翳し、空いた片手をスッと彼女の背に回す。小犬かと思えば、急に狼の貌で。
長椅子にピッタリ寄り添い、妙に至近距離に寄ってくる彼に、夕鈴が真っ赤な顔でタジタジになる。
「あ、あの…へーか…??」
「なんなら君を私専属の侍官にしてしまおうか?」
「な…っ?」


するとその時――二人の間を割って入る無粋な声が響く。


「失礼します陛下。新しい書簡をお持ちした」

側近の李順が書簡の詰まった箱を抱え、声掛けし入室して来るや否や、
瞬時に蒼褪め、陛下の手をスルッと翻した夕鈴は慌てて何事も無かったかのように、執務机の硯の墨をせっせと擦る素振りをする。

「――おや汀青慎、こんな所で何をしているのですか」
「はい!陛下の手伝いを仰せつかり、只今墨をたんまり擦っているところでございますっ!」
「それは気が利きますね、丁度新しい書簡を運んできたところです。さ、陛下、お仕事ですよ」
「……」
良い雰囲気の所で邪魔が入り、長椅子で一人むうーっと剥れる陛下。
小姑側近の顔色を伺い、夕鈴は素知らぬ顔でひたすら墨を擦るフリをした。

(ああ、もう…っ!この王様、一体何考えてるんだろう?!)

ドクンドクンと高鳴る心臓、羞恥にプルプル震えながら、夕鈴は全力で墨を擦る。


男のフリして王宮で働くことよりも、
政務室で柳と氾の諍いを仲裁するよりも、

物好きで風変り、子犬で狼な陛下が一番厄介で困った人だ…っ!――と夕鈴は実感した。






(つづく)


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- 2 Comments

minamina  

こんにちは。
陛下は男の子の格好でもやっぱり夕鈴を気に入ってしまうんですね。
お菓子を食べさせたり…甘やかしちゃうんですよね~!
そのうち独占欲が出てきて…どんどんあまあまになる陛下を楽しみにしてま~す♪

2016/07/20 (Wed) 11:16 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

minamina様:

夕鈴が変装してても一発で見破っちゃう陛下、狼センサーはいつだって兎さんを見逃しません(笑)
ついつい甘やかしちゃう陛下ですけど、他の男と仲良しの所をみちゃうと余計に独占欲が出ちゃうんでしょうね。
我慢できない子なんで(笑)

2016/07/22 (Fri) 10:39 | REPLY |   

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