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ななつむぎ

こんにちは。好きな漫画主に狼陛下の花嫁、帝の至宝、コレットは死ぬことにしたの感想や妄想を気ままに綴っております。

狼陛下のお気に入り7

Category狼陛下のお気に入り

こんばんは(^o^)丿

今週から職場復帰し、今日は久々に朝早くの御出勤。
昨夜は寝坊しないか心配であまり寝付けなかったよぅ。
近所の公園を横切ったら、蝉がワンワン鳴いてました。
やっと通常生活に戻り、今年の夏、初めて蝉の声をまともに聞いた気がします。(●´ω`●)

さて、それではお話の続きになります。
よろしければ どぞー











***********************







この頃お忙しいのか、陛下は中央殿や軍部の方に出向かれる事が多く、政務室に姿を見せない。
顔を合わせる機会もない日は妙に寂しく、夕鈴はがっかりと肩を落とす。


そうこうしてる間に――宿直当番の週末が訪れた。








この日、夕鈴は書類を他の部署へ配達する用事を言い付かり、各部署を回りながら片手で書簡を抱えメモをチェックする。

「ええと、工部尚と…あとは戸部尚ね」

メモに視線を落とし確認していると、戸部尚の建物から出て来る官吏らと入り口ですれ違いざまに肩がぶつかってしまった。
「…っ…すみませ…」

その拍子に抱えていた書簡を一巻落としてしまう。
それをしゃがんで拾おうとすると、頭上から声がする。

「おやおや、誰かと思ったら『陛下のお気に入り』じゃないか」
「こんな所に何の用かなー?」
「―――」
新調したての袍を纏う、まだ16,7歳の若い官吏達。
その顔には見覚えがあった。彼らも確か夕鈴と同じ日に出仕し始めた同期だ。
「……」
ぶつかった事に謝る訳でもなく、落ちたものを拾う訳でもなく、上から目線な物言いにムッとしつつ夕鈴は落ちた書簡を無言で拾い上げる。
「政務室から書簡をお持ちししました。戸部尚書様はお見えでしょうか?」
「ああ、奥にいらっしゃるよ」
「ありがとうございます」
さっさとやり過ごそうと一礼し彼らの前から去り際、聞えよがしに嫌味を囁かれた。
「ちぇっ、庶民上りが一端に官吏ぶりやがって」
「政務室に配属で、おまけにあの狼陛下に上手く取り入って『お気に入り』だとよ!」

「…っ!」
あからさまなやっかみにむかっ腹が立ったが、確か彼らは門閥貴族の息子――下手に相手にしない方がいい。
これが下町なら売られた喧嘩は買う主義だが、弟・青慎の身代わりで出仕してる今、自分が何か問題を起こしたら後々青慎に迷惑が掛かってしまう。

怒る気持ちをグッと堪え、夕鈴は聞こえないふりをし、その場をやり過ごした。







用事を済ませ政務室への帰り道――夕鈴はふくれっ面でドスドス廊下を歩きながら、愚痴を吐き出す。
「…何なのよ、ちょっと金持ち貴族の坊ちゃんだからって偉そうに!そもそも青慎が政務室配属になったのはあんたらより成績が良かったからでしょ!それを逆恨みしてさ!それに――…」

ふと足が止まる。
『気を付けろよ、お前のこと良く思って無い連中もいるからさ』
脳裏に先日の曹熊の言葉を思い出す。

『狼陛下のお気に入り』だなんて、誤解も良い所だ。ちっともそんなんじゃないのに。

「……」
でも、もしかして…私がいけないのかな?
身の程も弁えずあの方の優しさに甘えてるから、周囲からそんな風に取られるのかな?
だとしたら、臣下として然るべき距離を保たないと。
(私、ちょっとしっかりしよう!)


気を取り直すように両手で頬を叩き、顔を上げ回廊を曲がった所で――バッタリその黎翔と出くわし、夕鈴は吃驚する。

(わっ…!!へ、陛下っ)

彼も侍官を従え、どこかに向う道中のようだ。
一瞬両者の目が合い黎翔が口を開き掛けるが、彼の背後に侍官達が控えているのが視界に入り、夕鈴はサッと通路の脇に下がりピシッと拱手する。
「し、失礼致しました」
俯きそのまま陛下が通り過ぎるのを待っていると、彼はサッと手で合図し付き従う侍官達を払ったようで、自分の前で足を止める気配がする。

「――久しぶり。この頃顔を合わせる機会が無かったけど、元気にしてた?」
「…はい」

そっと顔を上げると、久しぶりに見る端正なお顔、優しい声に、夕鈴は胸がキュンと高鳴る。
(会いたかったけれど、正直今は会いたくなかったかも)
複雑な胸中で夕鈴が口ごもって上手く話せずにいると、黎翔もそわそわし言葉を選んでいる様子。
「ええと…久しぶりに話もしたいし、良かったら今夜一緒に夕餉でも、どうかな?」
「え?!だ、ダメですよ陛下、下っ端官吏が陛下と一緒に食事なんて」
「人払いすれば大丈夫でしょ?夕鈴の好きなもの用意させるからさ、ね、何が好物?」
「~~~っ」

またこの人は!下っ端相手にこうやって甘やかそうとするから誤解されるのよ!
夕鈴はグッと自制し、努めて臣下として一線を画す事のないよう、拱手の姿勢を崩さず振る舞う。

「私は今夜は宿直ですので、申し訳ございませんが陛下のお相手は致しかねます」
その返答に、黎翔が一瞬キョトンとする。
「宿直?君が?…今夜?」
「はい」
「はい…って。ちょっと待って、だって宿直って宿舎で他の官吏達と一緒に寝るんだよね?ダメだよ、流石にそれは不味いでしょ?君女の子なんだし」
「でも当番制なのに、私だけサボる訳には」
「いいよ、僕が何とかしてあげるから」

その言葉に夕鈴はカチンと来る。
心配して言ってくれているのは分かるが、そういう特別扱いはして貰っちゃ困る!
キッと顔を上げ、毅然と反論する。

「いいえ、結構です!ご心配は痛み入りますが、与えられた仕事である以上ちゃんとやってみせます。自分で対処しますから問題ありません」
「いやいや、問題大有りでしょ。だってお風呂はどうするの?寝所は?まさか男に囲まれて無防備に寝るつもり?そんなの狼の巣窟の兎を放り込むようなものだ。万が一女の子だってバレたら…」
「大丈夫ですってば!もう、私の事は放っておいて下さいっ!!」

ムキになりそう言い放つと、夕鈴は真っ赤な顔でバタバタと走り去って行った。


「―――」

その場に取り残された黎翔は、何故か急に余所余所しく自分と距離を取ろうとする夕鈴の態度に、訳が分からずポカンとする。









逃げる様に陛下の前から走り去った後、夕鈴はとぼとぼと萎れながら政務室手前まで辿り着く。

折角心配してくれた陛下に…可愛げない事を言ってしまった。
でもあの人がああやって直ぐ人を甘やかそうとするからいけないのよ…!
でも…あんな事を言ってしまったから、これでもう陛下も私なんか相手にしてこないだろうな…。

自らから発言しておいて心底落ち込んでりゃ世話ないわ、本当に身勝手な自分――


うっすら滲む涙目を手の甲で拭うと、丁度そこへ曹熊が顔を見せる。

「お、そっちの配達は終わったか?――どうかしたのか?」
「いえ、何でもないんです。ちょっと目にゴミが入って」
目を赤くしている夕鈴に気付き、曹熊が近づく。
「どれ、見てやろうか」
「い、いえ、いいですよ、大した事じゃ…」

言い終わらぬ内に曹熊が夕鈴の頬に手を添え上向かせる。そして至近距離に顔を近づけさせ覗き込んでくるので、夕鈴はギョッとしてしまう。

「ほ、本当に大丈夫ですから…!」
「いいからジッとしてろって」
口付けでもされそうな至近に顔を寄せられ、夕鈴は顔をカアッと赤くさせる。
「ゴミは取れたみたいだな…ん?顔が赤い、熱でもあるのか?」
そのまま額と額をこつんとくっ付けられ、夕鈴はいよいよ真っ赤に顔を火照らせ、必死で彼の顔を押しのける。
「平気ですってば!!暑苦しいから離れて下さいよっ!!」
「ふーん、ならいいけど。――それよりとっとと飯食いに行こうぜ。今夜は宿直だから早く寝床を確保しないとな」

相変わらずマイペースな曹熊に振り回されつつ、仕方なく夕鈴も彼の後を付いて行く。





少し離れた柱の影――黎翔は腕組みし、その一部始終を憮然とした面持ちで眺めていた。

「……ふ―ん…」
夕鈴の様子が気になり追ってきたのだが、またも他の男とイチャついているシーンを目撃する羽目になるとは。
私の心配は頑なにあしらっておいて、他の男とはああいう風に接する訳か。
今にも口付けしそうに顔を近づけ、額までくっ付けて…自分だって夕鈴にそこまで馴れ馴れしく触れた事ないのに。

ゴゴゴゴ…と背後に陰のオーラを放ち、黎翔は嫉妬心を燃やす。
(…全くもって、面白くない)

夕鈴が先程、自分に言い放った言葉を反芻する。

「そうだな――与えられた仕事なら、何でもやるんだよな?ならば少々職権乱用させて貰うとしようか」

何やら企む狡猾な狼の貌で、黎翔は口端を吊り上げる。






(つづく)

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6 Comments

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2016/07/11 (Mon) 21:23 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

みく様:

こんばんは。(゚∀゚)お蔭様で無事職場復帰できました。想定したよりも大分早く戻れてホッとしております。(^^ゞ
職場では親しい人以外、殆ど私の病気の事知らないので、何事もなかったかのようにこそっと戻りました(笑)

嫉妬した陛下が何か意地悪?しそうですねぇ。王様の職権乱用だったら、イロイロやっちゃえるじゃないですかー( *´艸`)
「仕事」って言えばむちゃぶりしても夕鈴頑張りそう(笑)

2016/07/13 (Wed) 20:10 | REPLY |   

いちご  

こんにちは(*˘︶˘*)
実は夜冷房つけっぱで寝ちゃって。。家族にこってり怒られました。゚(゚´Д`゚)゚。

またまたヤキモチやいちゃってますね、陛下( ´艸`)♡笑
何回も読んで何回も胸きゅんしてます(^^;;

2016/07/16 (Sat) 00:43 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

いちご様:

こんばんはー(●´ω`●)
私も先日やっちゃいました、夜冷房つけっぱなし。(;´Д`)あはは

さてさて、こっから陛下のイヤガラセが始まるのですかねー(笑)
でもヤキモチ陛下を書くのは楽しい♪そして不憫陛下はもっと楽しい♡←オニ

2016/07/16 (Sat) 23:13 | REPLY |   

minamina  

おはようございます。
陛下、焼きもち焼いちゃってますね~!
王様の職権乱用って…どこまでのものなんでしょうか?
わくわく、ドキドキ…です。

2016/07/27 (Wed) 09:08 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

minamina様:

こんばんは。コメありがとうございます。(●´ω`●)
ヤキモチ妬く陛下いいですよね、私の大好物です。(笑)
王様が職権乱用したら…そらもう、やりたい放題?(≧◇≦)夕鈴たいへんっ!でも楽しみっ。←

2016/07/29 (Fri) 22:44 | REPLY |   

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