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ななつむぎ

こんにちは。好きな漫画主に狼陛下の花嫁、帝の至宝、コレットは死ぬことにしたの感想や妄想を気ままに綴っております。

狼陛下のお気に入り9

Category狼陛下のお気に入り
こんばんは。(●´ω`●)

ちょっと夏風邪引いてダウンしてるななです。
そこまで酷くはないんですけど、微熱、耳詰まり、鼻詰まり…地味にツライ症状(;'∀')
いとも簡単に風邪引いちゃって、免疫力低下してるのかなぁ?

でも先月長期休暇取ったばかりだし、できるだけ職場の人に「病気」イメージ持たれたくないので、何とか頑張って出社してます。('◇')ゞ

今日はお休みで、家で大人しくしてたのでララ買いに行けてないやー💦
また来週買いに行こうっと。(゚∀゚)


それではお話の続きです。





**********************









朧月夜の静寂の下――梅花空木の花弁が舞い散る庭が美しく、夕鈴は見とれてしまう。

後宮は王の許可を得た者以外は男子禁制の女の園。
陛下に呼び出され初めて足を踏み入れたそこは、官吏がひしめく男社会の王宮とは反対に、王の妃たちが住まう事を前提にあるだけにどこもかしこも風雅に溢れている。


「―――」

先導する女官の後ろをついて歩きながら、夕鈴は気後れしてしまう。
今のところ妃は一人もいないらしいが、仕える女官達でさえ皆美しく優雅で、陛下はいつもこんな女性達に傅かれて暮らしている人なのだ。その事実を目の当たりにしただけで、自分には手の届かない遠い存在なのだと思い知らされる。
回廊を幾重にも曲がり更に奥へ進むと、漸く目的地に着いたようで先導役の女官が振り返る。
「こちらでございます。中へどうぞ…」
「あ、はい」
夕鈴だけを通すと女官は入口前で下がって行った。


言われるまま中に足を踏み入れると――長椅子で寛いでいた黎翔が顔を上げ、笑みを浮かべる。

「ああ、急に呼んで悪かったな」

昼間王宮で見る政務服姿とは違って、黎翔は単の長襦のみと言ったラフな装いだ。寛げた袷から覗く鍛え上げられた胸板に、夕鈴は頬染め視線を逸らしながらササッと拱手する。
「いえ――ご用件は何でしょう?」
「うん。ところで君もう湯浴みは済ませた?」
「いえ、まだですが」
「それじゃ丁度良かった。こっちにきて」
「はあ…?」
長椅子から立ち上がった陛下に手招きされ、訳も分からず促されるまま彼の後を付いて行く。



人払いされた室内はやや湿り気を帯び、ほんのり香料の良い香が漂う。
ぴちゃん…と水音が響き何の部屋だろうと首を傾げると、仕切りカーテンを捲り大きな衝立を隔てた向こう側に見えたのは――凡そ20人以上は楽に入れそうな立派な湯殿だった。

夕鈴がポカンと目を丸くする。
「なんですか、ここ」
「見ての通り、国王専用の湯殿だよ」
「でしょうね…。こんな凄いお風呂初めて見ました」
「まあ一人で使うには広すぎて経済的じゃないけど。――それじゃ僕今からお風呂入るから、君、湯番頼むね」
「はい……はい?!湯番?!私がっ?」
とんでもない事を言い出す黎翔に、目を剥く。

湯番とは湯加減を見たり着替えを整えたりする役目の者を指す。
しかし高貴な身分の邸、はたまた妓楼などの遊郭などでは、主に命じられれば共に入浴し湯浴みを手伝う湯女のような役割も果たすと聞いた事があるけど…それにしたって湯番など官吏の仕事ではないだろうに。

予想通り困惑顔の夕鈴に、黎翔は悪戯っぽく笑みを浮かべる。
「僕いつもは一人で入るんだけど、今夜は折角だから湯番に背中でも流して貰うとしようかなぁ」
「こ、後宮にはいくらでも仕える女官がいるでしょうに、何でわざわざ私がそのような事を…」
「これは王の命令だよ。汀青慎?」
本名を知ってる癖に敢えて官吏としての男名で呼ばれ、夕鈴はグッと言葉を飲み込む。

王の命令――それは王宮に仕える人間にとっては絶対、例えどんな気まぐれな要求だろうと一官吏ならば逆らうべくもない。
こちらが断れない立場だと知ってて!

夕鈴は悔し紛れに皮肉で返してやる。
「…今日の陛下は何だか意地悪ですよね?」
「そりゃ他の男と仲良くしてる所を見せられたら、これくらいの意地悪もしたくなるでしょ」
ぼそっと呟く小声がよく聞き取れず夕鈴がキョトン顏すると、構わず黎翔が彼女の手を引く。
「まあいいや、それよりお風呂に入ろうか」
「けど、けどっ!一緒に入浴とか、幾らなんでもそれは…」
「そんな警戒し無くても君は浴衣着ていいし、僕もちゃんと下は布を巻くから。ね?」
「でも~っ」
「はいこれ、向こうで着替えて来て」
「~~~っ」








結局強引に押し切られ、脱衣所の衝立の中――渋々渡された浴衣に着替えた夕鈴。

あつらえた様にピッタリサイズの浴衣は…女官用なのだろうか?
「……」
陛下「いつもは一人」なんて言ってたけど、本当かしら?
王様だし女慣れしてるっぽいし、実は時々こうやって女官にでも体洗わせてるんじゃない?
ふと脳内に綺麗な女性達に囲まれ尽くされている彼の姿が浮かび、夕鈴はイラッとする。よりどりみどりの癖してわざわざ私を呼び出して湯番を命ずる…要するに私の反応を見て面白がってるだけに違いない。
(王様の気まぐれに一々狼狽えてたら相手の思う壺!)
これは仕事。だったら私は冷静に淡々と、命じられた通り任務を遂行してやろうじゃないの!
気合を入れるように両頬を手で叩き、夕鈴は腹を括る。



浴衣にたすき掛けした格好で衝立から出ると、黎翔は既に上半身裸に腰から膝まで布一枚巻いた格好で待ち構えていた。
気合を入れた側から、男性の半裸を目の当たりにし、やはり内心ドキドキと動揺してしまう。
「準備出来た?良かった、浴衣がピッタリだ」
「は、はい。…そ、それではとっとと参りましょうっ!」

男らしく引き締まった上半身に目のやり場に困りつつ、あくまで冷静を装いきびきびと先導する夕鈴。…が、緊張のせいかカクカクした不自然な動作の彼女に、黎翔は内心(面白い…)とほくそ笑んでいるのだが。




改めて見回すと本当に豪奢な造りの湯殿だ。
四方に龍を模った石造りの像が配置され、贅沢にも満々と湯水を湛えた浴槽からは白い湯けむりが立ち上っている。湯加減を見ると入浴するのに丁度良い温度が保たれている。
洗い場に用意されているのはとても柔らかくきめの細かい布。幾つもの薬草を煎じた液体、香料、それから生薬や香料を調合した「澡豆」という高価な粉末洗剤まであるのは、さすが国王専用の湯殿。
普通庶民が使うのはもっときめの粗い布地だし、穀物のとぎ汁などで体を洗うのが一般的。でも米やアワ、ヒエなどのとぎ汁は垢が落ちやすく肌にもよいので夕鈴は好んで使っている。

「ええと、どれを使えば良いのでしょう?」
「そっちの雑穀のとぎ汁でいいよ。臭いのきつい香料や薬液はあまり好きじゃないんだ」
「……」
「どうかした?」
「いえ。こんな高価な洗剤があるのに米のとぎ汁を選ぶなんて、陛下もヘンな王様ですよねぇ」
「そうかな?元々国王専用湯殿なんて仰々しいだけで、広すぎて使い勝手悪いしめんどくさいんだよね」
そんな不満を漏らす陛下に、夕鈴は思わずプッと吹き出してしまう。

自分とかけ離れた別世界に住む人――かと思えば、意外な一面を知り親近感を感じてみたり、本当に不思議な人。



他愛ない会話をしながら、夕鈴が彼の肩から背中を丁寧に布で擦っていると――ふいに黎翔がこんな質問を投げ掛けてきた。

「――ねえ夕鈴、君と政務室でいつも一緒にいるあの官吏、誰?」
「え?(いつも一緒にいる…)ああ、曹熊さんの事ですか?彼は私の指導係です」
「ふーん。いつも一緒で仲がいいよね」
若干の皮肉を込めたつもりが鈍感な夕鈴には伝わらず、彼女はニコニコと受け答える。
「そうですね、最初は唯のサボり魔かと思ったんですけど、ああ見えて実は面倒見が良くて優しい人なんですよ。妹さんがいるのでお兄ちゃん気質なんでしょうねぇ。でもちょっと親切が過ぎると言うか、さっきも官吏宿舎の湯殿で無理やり私の服脱がそうとしてきて!」
先程の事を思い出し、夕鈴がぷうっと頬を膨らます。
その台詞に黎翔が半目で片眉をピクリと跳ね上げた。
「無理やり…脱がそうと…?」
「まあ唯の悪ふざけですけどね。――さ、お湯を掛けますよ」

テキパキと桶に汲んだお湯で背中を洗い流し、夕鈴が中腰の姿勢から立ちがる。

「御命令通り、御背中を洗いました。それでは私はこれで…」
そそくさと逃げようとする夕鈴の手首を、すかさず黎翔が掴んで自分の方にグイッと引き寄せる。
「――せっかくだから、君もここで入浴していくといい」
「は?」

急に冷気漂う狼陛下になり、あれよと言う間に夕鈴を軽々と抱き上げる。
慌てふためく夕鈴を抱えたまま黎翔の足がすたすたと浴槽に向うので、夕鈴がギョッとする。

「ちょっ、陛下、何するんですか?!冗談はやめてくださいっ」
「官吏宿舎に戻って風呂に入るなんて危ないよ。万が一女の子だってバレたらどうするの」
「バレません!そんな心配は無用…っ」
「全く強情な兎だ。素直にいう事を聞かないなら――こうしてやろう」
「きゃあぁっ?!」


抵抗する間も無く、夕鈴もろとも黎翔が湯船にザブンと身を沈ませた。
浴衣を纏ったままイキナリ湯に入れられた夕鈴が目を白黒させ、怒鳴り散らす。

「何なさるんですか、もうっ!!」
「あはは。ごめんごめん。でもこうでもしないと君素直に湯殿使ってくれないと思って――…」
笑っていた黎翔が夕鈴を見下ろし、言葉を切る。
「あの、ごめんなさい…お湯の中で服が絡まって…上手く立てなくて…」
意外に水深のある浴槽でもたつく夕鈴は気付いていないが、湯に浸かり透ける程に水分を含んだ浴衣が白肌に張り付いた様は何とも艶めかしい。
黎翔は夕鈴の腰を引き寄せ、己の肩に掴まらせるように抱き上げると、彼女の張り付いた前髪を指で優しく梳いてやる。

「本当に、君はもう少し自覚したほうがいい。…これじゃ今夜は帰したくなくなるじゃないか」
「…っ」

そんな口説き文句にドキッと胸が高鳴る。
こんな素敵な人に優しくされ口説かれたら、女ならグラつくなという方が無理だ。つい――彼の望むままに従ってしまいそうになる。
しかし流されてしまいそうになる自分の心を叱咤する。
ダメ、この温もりに慣れてしまっては――だってこの人は王様で、手の届かない存在なのだから。

「――お戯れも…いい加減になさって下さい。もう…こんな風に私に構わないで」
「それは心外だ、決して戯れなどではない。私は本心から君と過ごすのが楽しいと思って…」
真摯に見つめて来る眼差しに、胸を射抜かれる。
掴まってはいけない、早く逃げなければ。
本能的にそう感じた夕鈴は彼の腕の中で必死にもがく。
「やめてください!もう官吏宿舎に戻ります、放してっ――」


その瞬間黎翔に後頭部を捕らえられ、強引に唇を塞がれ――夕鈴は驚きのあまり目を瞠る。


「…ん、んんっ?!や、だ、……んんっ、ふ…ぁ……っ…」

角度を変え何度も唇を塞がれる内に、徐々に体の力が抜けてくる。

一旦唇を離され見つめ合ったまま息継ぎすると、今度は自然と顔が至近に寄り、まるで惹かれ合う様に二人は再度唇を重ね合わせる。

「―――」
「……ん……ん…」

二度目の口付けの時点でもう抵抗する気力もなくなり、湯気に逆上せたように思考も覚束なくなり、夕鈴は熱を孕んだ彼の唇の動きにただただ溺れて行く。




長い口付けの後、漸く唇を解放されると互いの吐息が混じり合う。

「は…、こんなにも甘い唇で、可愛い君を、とても官吏宿舎へなど帰せない」
「へいか…」
彼が耳元で囁く。
「今夜は僕の部屋で一緒に寝よう?」
「―――」


それがどういう意味を差すかは、いくら鈍感な夕鈴にだって察しが付く。

身分とか立場とか、これまで頑なだった理由すらどうでもよく思えた。
だって一度触れてしまえば嫌でも思い知らされる――自分がこんなにもこの人が好きなのだと。

「…はい……」

おずおずとか細い声で頷く夕鈴に、黎翔は愛おしそうに唇を寄せる。




結局その夜、官吏宿舎に戻ることは無く――
夕鈴は自分でも驚くほど素直に黎翔の求めに応じ―――彼と褥を共にした。





(つづく)




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12 Comments

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2016/07/24 (Sun) 10:59 | REPLY |   

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2016/07/24 (Sun) 21:34 | REPLY |   

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2016/07/24 (Sun) 21:47 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

みく様:

やっと甘い展開まで辿り着きましたよー。(^^ゞそろそろ二人をイチャイチャさせたい病が発動し、とうとうお風呂で♡
私も裸より着衣の方がエロイと思います~肌蹴たり透けてる感じがねぇ。いや~お風呂は良いのう(笑)(←だまれ)
いつか本誌でも夫婦混浴シーンくると良いですね。( *´艸`)

今回の風邪はちょっと拗らせ中…あきらかに体力・運動不足です。
休日ポケモンでも探しにいこうかしら・・・?(@_@。

2016/07/25 (Mon) 22:23 | REPLY |   

なな  

Re: お加減いかがですか?

狭霧様:

お気遣いいただきありがとうございます。(#^^#)
私の今回の風邪も、外気と冷房の温度差で上手く体温調節出来なかったみたいです。少しずつ良くなってるかな、と思ったらまた熱がぶりかえすので地味にツライ(;´・ω・)まあ仕事にいける範疇ですけどね。(^o^)
狭霧様もどうぞお体ご自愛下さいませ。
お話の続き、楽しんで頂けて嬉しいデス♡

2016/07/25 (Mon) 22:36 | REPLY |   

なな  

Re: 大好きです。

聖璃桜様:

こんばんはー(●´ω`●)
今回のお話楽しんで頂けて嬉しいデス。
今回の連載はややスローペースですが、続き頑張ります。

2016/07/25 (Mon) 22:40 | REPLY |   

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2016/07/25 (Mon) 23:37 | REPLY |   

いちご  

陛下と夕鈴のいちゃいちゃまってました(ˊo̶̶̷ᴗo̶̶̷`)

私も風邪っぴきです(´・ω・`)
中途半端に風邪ひいてて。。
だるいし、なにもやる気がしない泣

ななさんもお大事に( ..)"
次回も楽しみにしてます♪

2016/07/29 (Fri) 01:56 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

のっぺ様:

こんばんは~(@_@。思いの外風邪で苦しめられ、なんとか復調してきました💦
市販の風邪薬のんでも治らなくて「ヘンだなぁ」と思い、病院受診したら耳鼻に菌が入って炎症起こしてるとかで抗生物質出して貰いました。そしたら大分楽になって(^^ゞ風邪でこんなの初めてですよ。抵抗力弱ってるんだなぁと(苦笑)
のっぺ様もお身体大丈夫でしょうか?!(;´・ω・)ヒビ入ってたらそりゃ痛いデスよ~💦お大事になさってください。

今回の風邪で体力奪われ、思考力も働かず、お話の続きこれからです(^^ゞてへへ

2016/07/29 (Fri) 22:41 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

いちご様:

今、夏風邪流行ってるんですねぇ。私もがっつり苦しめられたので、その辛さ良く分かります~(;´・ω・)
風邪の症状もですが、だるさや倦怠感、食欲不振も辛いデスよね💦
私は最初中途半端な風邪ですぐ直ると思ってたら、大分こじらせてしまいました。
いちご様もどうぞお大事になさって下さいね(●´ω`●)

2016/07/29 (Fri) 22:50 | REPLY |   

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2016/08/09 (Tue) 00:01 | REPLY |   

なな  

Re: タイトルなし

minamina 様:

こんにちは(^o^)丿
王様が職権乱用しちゃダメですよね。あーでもこの場合はまあいいか(笑)
だってこうでもしないと一緒にお風呂入れないし、夕鈴を落とせないもの~。(●´ω`●)
嫉妬すると陛下って手が早そうですよね?

2016/08/14 (Sun) 17:09 | REPLY |   

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