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ななつむぎ

こんにちは。好きな漫画主に狼陛下の花嫁、帝の至宝、コレットは死ぬことにしたの感想や妄想を気ままに綴っております。

狼陛下のお気に入り16

Category狼陛下のお気に入り

こんばんは(^o^)丿

遅ればせながら最新刊15巻をGETして参りました。
面白かったです~♪お嫁さんが他人に世話焼き過ぎで、拗ねる陛下が楽しい巻でした!(笑)
そして漏れなく、16巻&ドラマCD付特装版の申込書がっ!(≧◇≦)
来年の5月まで待ちきれませんよ~。

気分が盛り上がったので、夕鈴さんのイラストを。(*´▽`*)
     ↓

祝15巻&ドラマCD化!


それではお話の続きに参ります。
たぶん、次回で完結予定ですが、
宜しければ どぞー(^o^)丿


**********************









黎翔との甘いひとときを過ごした翌朝――窓から朝日が差し込む。


いつのまに寝入ったのか記憶がない夕鈴は裸のまま、手狭な寝台に一組の布団の中で黎翔と二人くっついて眠っていた。
朝の光に寝ぼけ眼で身動ぎし、起き上がろうとすると、
「ん…、ゆーりん、風邪引くからもっとこっちおいで…」
黎翔に抱き直され、再び彼の胸に収まってしまう。

互いの体温が心地よく、うっかり二度寝しそうになった所でハッと目が覚める。
(――まずい、もう朝っ!のんびり寝てる場合じゃないっ)

夕鈴は黎翔の腕を押しのけ、慌てて身を起こし床に散らばっていた自分の衣を拾い手早く着込み、鏡の前で乱れた髪を櫛でせっせと梳かす。
急にバタバタ支度し出す夕鈴に黎翔がキョトンとする。

「どうしたの、そんなに慌てて」
「どうしたもこうしたもありませんよ!のんびりしてたら家族が帰ってきちゃう!もし父さんや青慎にこんな所見られたら…っ」
「あ――、そうだね。嫁入り前の女の子が自宅に男連れ込んで、裸で寝てる所を見られたらマズイよねぇ。僕、お父さんに殴られちゃうかなー」

のほほんと、それを何故か嬉しそうに話す黎翔。
しかし夕鈴は冗談じゃないと喚く。

「ウチの父さんにそんな度胸ありませんよ。でも身内にこんな所を見られるのは恥ずかしいんです!!――ほら、陛下も早く起きて着物着て下さいっ」
「うん、わかった」
素直にいう事を聞き、黎翔がむくりと布団から起き出すと、夕鈴が赤面し咄嗟に顔を逸らす。
「どうかした?」
「だ、だって、裸だから…っ」
「ええ?昨夜あれだけイチャイチャしておいて、今更照れなくても―」
頬を染め照れてる夕鈴に気を良くし、黎翔が後ろから甘えるように抱き付く。
「それとこれは別っていうか、素面だとやっぱり恥ずかしいですよぅ…。は、早く服を着て、顔を洗って下さい。あ――お腹空いてませんか?簡単なものしかないけど宜しければ朝餉の用意をしますが」
「もしかして、夕鈴の手作り?」
「え?ええ、まあ…」

すると黎翔はきょとんと目を丸くする。

貴族の邸でもあるまいし庶民なら自炊が当たり前のことだが、私何かおかしなこと言った?と首を傾げるが――そこで夕鈴はハッと気付く。
(もしかして王様って朝からものすごい贅沢な食事してるとか?だとしたら庶民の簡素な料理なんてお出ししたらマズイ?!それに…)

「あ、あの!もし毒見が必要でしたら私が!それとも、ヘンなもの食べさせて問題が起こるようでしたら、やはり王宮にお帰りになってから食事されます?!」
オロオロと尋ねると、黎翔が照れた様に頭を掻く。
「あ、いや、そうじゃなくて。夕鈴の手料理が食べれるなんて嬉しいなって感動しちゃって」
「…あの、そんな期待されるような、大したものじゃありませんよ?」
「うんうん――じゃあ僕顏洗ってくるね♪」

人の話を聞いてるのか聞いてないのか、ルンルンと上機嫌で着物を羽織る黎翔。

(――ヘンな人)と調子が狂いつつも、
あんな風に嬉しそうな顔されるとまんざらでもない夕鈴は、張り切って朝食作りに取り掛かる。









朝餉の準備が整い、二人で向かい合わせに食卓につく。

王宮料理人達が毎日腕によりを掛けて作る豪勢な料理に比べたら、間違いなく質素でしょぼいだろう食卓に夕鈴は恐縮するが、そんな懸念などお構いなしに黎翔が嬉々として箸を伸ばす。

彼が料理を口にする様を不安げに見守りながら、
「ホントすいません、こんな庶民料理で…」
「え――なんで?美味しいよ?」
「うう…取りあえずお口に合って良かったです」
「王宮で食べる食事より、全然美味しいよ」
ニコニコと嬉しそうな顏の黎翔に、(流石にそれはない)と心中でツッコむと、
「あったかい料理なんて随分久々だよ。王宮だといつも一人だし、毒見後で冷めてるから味気ないし」
「―――」
…そうか、そうよね。王様なんだからそれはしょうがない事だけど…と夕鈴が同情すると、彼が照れ臭そうにはにかむ。
「それに、こういうのって、まるで新婚さんみたいだよね」
「……」
その言葉に思わず夕鈴が顔を赤らめた。

もう、そんな嬉しそうな小犬顔されると、つい『また作っても良いかなー?』っていう気になってしまう。




傍から見れば完全に新婚さんのほんわかした朝の食卓風景―――そこへ、もの凄く入りにくそうに青慎が声を掛けた。

「…あの~、お邪魔してすみません…」


何時の間にか戸の向こうから姿を現した弟に、夕鈴が吃驚し弾かれたように立ち上がる。
「や、やだ!あんたいつの間に帰ってきてたの?!」
「今だけど。ごめんね、折角楽しそうに食事してた所にお邪魔しちゃって。僕、もう暫く外出してた方がいい?」
ヘンな気を遣われ、夕鈴が慌てて否定する。
「いいのよ、べべべ別にそんな!そーいうんじゃなくて、これはね…っ!」
「父さんまだ楊さんちで寝てるけど、紹介するなら呼んでこようか?」
「……そ、それはその…」

彼がこうしてここで朝食を取っているという時点で、昨夜泊まった事は察しがつくだろう。
つまり、私が彼と……って事も。
「~~~っ」
カアアッと真っ赤に赤面し、目をグルグル回す。
確かに昨夜陛下とは想いを確かめ合ったし、そういう関係になってるのだから親に紹介すべきだろうけど――何せ相手は王様、どうしたものか。

何と説明すればいいのか言葉に詰まる夕鈴に変わって、黎翔が箸を置き立ち上がる。

「そうだね。勿論父君にも、弟の青慎君にもキチンと挨拶すべきだね。僕の名は珀黎翔、一応この国の王様をやっている者で――」
いきなり自己紹介しだした陛下にギョッとし、夕鈴が遮る。
「陛下っ!!」
「どのみち青慎くんは今後官吏として王宮に出仕するのだろう?ならば遅かれ早かれ、僕の事を知る事になるよ」
「それはそうですけど…」
「…陛下?――王様……?え?ど、どういうこと…?姉さん」

困惑顔の弟に、観念したように夕鈴が溜息を吐く。

「そうですね、政務室勤務なら知らない訳には…。――あのね青慎、驚かないで欲しいのだけど、…改めて紹介しますがこの方…国王陛下、です」

ポカンと聞いていた青慎は次の瞬間、驚きのあまり絶句。

「……っ?!…ええぇ――っ?!」






***





そんな事があって――翌日。

汀青慎がに王宮に出仕したと聞き、早速指導役の曹熊が回廊で呼び止める。
「おおい、汀青慎、お前体はもう平気なのか?」
おずおずと振り向いた青慎がやや緊張気味に受け答える。
「はい…、もう」
「そうかー、いや一週間も休むから心配してたんだぞ。もう体調はいいんだな?お前が休んでる間雑用が溜まってるから覚悟しろよ」
と、いつもの調子で軽口叩き、青慎の背中を手で叩く。
「はい…」

――勿論ここにいるのは汀青慎本人。
代役の姉と入れ替わり、漸く出仕する記念すべき初日。しかし入れ替わりを見抜かれない様、慎重に振る舞う。

そもそも見た目は瓜二つ、でも元気で威勢の良い夕鈴と違い、落ち着いた性格の青慎とでは話し方、雰囲気や声のトーンがやはり異なるので、最初は口数少なく様子を見つつ慣らしていかなくては。
そう思い、やんわり距離を取ると――曹熊が首を捻り覗き込んでくる。

「ん――?…なんかさ、暫く見ない間にちょっと雰囲気変わった?」
ギクッとし、動揺を悟られないよう拱手した袖で口元を覆い、一歩下がる。
「そ、そんなことは…」
「いーや。なんか物静かで妙に大人しい。……そうか、まだ本調子じゃないんだな、病み上がりなんだから今日のところはあんま無理すんな、な?」
「はい、ありがとうございます…」

普通にしてて『大人しい』『物静か』とか言われるって、姉さんどんだけ…と青慎は溜息を吐く。




取りあえず第一関門、突破。



次いで政務室に入ると、他の官吏達が声を掛けてくれる。
「お、汀青慎、もう体調は治ったのか?」
「早速で悪いが、この資料を午後までに揃えといてくれ」
「はい」


幸い病み上がりを考慮されてるのか、誰も入れ替わった事に気付かない。ホッとしつつ、やや拍子抜けしていると――目の前に資料を抱えた若い官吏が現れた。長い黒髪を結い、眉間に皺…という事は彼が柳方淵さん…かな。

「――病は完治したのか?この忙しい時、くれぐれも政務室の他の官吏に移すことのないよう注意しろ」
「は、はい!」
それだけ言うと、彼はスタスタと行ってしまう。
(歯に衣着せない物言いだなぁ。でも遠まわしに嫌味を言われるよりハッキリしてて気持ちいいかも)


柳方淵の後ろ姿を見送ると、今度は優雅でおっとりした美形の官吏が現れる。
キラキラした雰囲気、髪を編み下げ蝶結びの紐…きっと氾水月さんだ。

「おや汀青慎、しばらくぶりだね。君も陛下が恐ろしくて家に引き篭もっていたのかい?」
「は?いえ…」
「私も池の鯉にエサをやらないといけないから、これで」
ポカンとしてる間に、彼はキラキラマイペースな雰囲気で去って行った。

(うん……まあ、いいか)



――こんな感じで、青慎の官吏デビュー初日はひとまず順調に過ぎていく。




しかし午後になり、いきなりピンチが訪れる。

資料を抱え回廊を急いでいると、すれ違った官吏二人に呼び止められた。
同い年くらいの若い官吏、政務室勤務では見てない顏だったので、恐らく他の部署の者だろう。
「――なんでしょうか?」
「なんだよ汀青慎、性懲りもなくまだ王宮に来てるのか」
「折角病で休んでたんなら、そのまま下町に引っ込んでいればいいものを」

「―――」

彼らは以前夕鈴に嫌味を放った同期の官吏達だった。
門閥貴族の息子という立場で、傲慢な態度で、登用試験の成績が良く政務室に配属された青慎のことを何かとやっかんでくる。

こういう輩は相手にしないに限る。
青慎は冷静に受け流し行こうとするが、官吏の一人が目ざとく肩を掴んだ。
「ん~?なんか前と感じが違わないか、こいつ?」
「前はもっと女々しい感じで、そのくせ生意気な面でこっち見てたよなー?今日は随分大人しいじゃないか」
大人しい青慎に、調子づいた連中はせせら笑いで詰め寄ってくる。
(はぁ、まるで子供みたいだなぁ。官吏にもなって)
回廊の柱に押しやられ、青慎はどうしたものかと困った顔で見上げる。
(よく分からないけど、あれこれ詮索される前に逃げた方がいいかな?あ、でも全力疾走はするなってお医者さんに言われてるしな…)

気を逸らせた隙にどうにか逃げようと考えていると――



「――そこで何をしている」


低い声が響き、官吏二人と青慎が顔を向けると、そこにいたのは何と国王陛下の姿だった。

「ひっ、し、失礼致しました…っ!!」
官吏らが蒼褪め、慌てて脇に下がり拱手する。
青慎も彼らと同じように脇に下がりサッと拱手すると、陛下がツカツカとこちらに歩み寄る。
内心ドキドキしつつ伺うと、陛下は青慎に向けフッと一瞬表情を和らげ微笑み、それから急にヒヤリと冷気を纏い官吏2人組に問いかける。
「――お前たちはどこの部署のものだ」
「はっ!戸部尚でございます!」
「このような回廊で油を売ってられるほど、戸部尚の官吏は暇なのだな?」
「とっ、…とんでもございません。決してその様な事は…っ」
「では速やかに己の部署へ戻って仕事をしろ、よいな」
「ははっ!!」

狼にひと睨みされ、小物な官吏達は蒼白な顔で竦み上がり、逃げる様に去って行った。


そして陛下は供の侍官を人払いし、回廊に青慎と二人になったとたん、別人のようにニコッと笑顔を見せた。
「出仕早々、災難だったね――青慎君」
「…はい、お蔭様で助かりました。ありがとうございます――陛下」

……未だに信じられない、あの姉の恋人が――まさか国王陛下だなんて。


陛下が側に寄り、こそっと小声で話し掛ける。
「クスッ。その分だと、上手く入れ替わり出来たみたいだね」
「はい。僕はなんとか――僕が今こうしてここにいられるのも、全部姉さんのお蔭です。少しでも恩返しができるよう、頑張ります!」
「うん、その意気だ」
「ではこの資料を急ぎで届けないといけないので、失礼します」

ぺこりと一礼し立ち去る青慎の後ろ姿を見送り、黎翔は一息。
「弟君の方は大丈夫そうだな。――あとは…」


滞りなく『妃』を後宮に迎える為、黎翔は密かに根回しに取り掛かる。




(つづく)

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